こんにちは。神奈川県川崎市のNPO法人設立支援.comです。
今回は、「NPO法人が行なう福祉有償運送」について説明します。
福祉有償運送とは
福祉有償運送とは、NPO法人等が自家用自動車を使用して行なう有償の旅客運送サービスをいいます。
福祉有償運送の条件
福祉有償運送と認められるためには、以下の条件を満たさなければなりません。
- 受け取る対価が実費の範囲内で営利とは認められない範囲であること
- 使用する自家用自動車の乗車定員が11人未満であること
- 要介護者や身体障害者等の会員に対して行なうものであること
- 原則としてドア・ツー・ドアの個別輸送であること
運輸支局への登録が必要
福祉有償運送を行なうには、管轄の運輸支局に登録をしなければなりません。登録には、登録免許税(15,000円)がかかります。
登録を申請するにあたっては、市町村等が主宰する「運営協議会」において、福祉有償運送の必要性、運送の区域、旅客から収受する対価等について合意されていることが必要です。
登録の有効期間は原則2年です。有効期間満了後も引き続いて運送を行なおうとする場合は、有効期間の更新の登録を受けなければなりません。
登録が不要なケースも
国土交通省は、「ボランティア活動における送迎行為等を念頭におきながら、登録等が不要な場合の考え方及びこれに該当すると思われるケース」として、以下のケースを例示しています。
- サービスの提供を受けた者からの給付が、「好意に対する任意の謝礼」と認められる場合
- サービスの提供を受けた者からの給付が、金銭的な価値の換算が困難な財物や流通性の乏しい財物などによりなされる場合
- サービスの提供を受けた者が、運送目的、運送主体にかかわらず自動車の実際の運行に要するガソリン代、道路通行料、駐車場料金を支払う場合
- 市町村が公費で負担するなど、サービスの提供を受けた者が対価を負担しておらず反対給付が特定されない場合 など
使用できる自動車の種類
福祉有償運送で使用できる自動車の種類は、乗車定員11人未満のもので、次のとおりです。
種類 | 形状等 | |
---|---|---|
福 祉 自 動 車 |
寝台車 | 車内に寝台(ストレッチャー)を固定する設備を有する自動車 |
車いす車 | 車いすの利用者が車いすのまま車内に乗り込むことが可能なスロープ又はリフト付きの自動車 | |
兼用車 | ストレッチャー及び車いすの双方に対応した自動車 | |
回転シート車 | 回転シート(リフトアップシートを含む)を備える自動車 | |
セダン等 | 自動車検査証の用途の欄が「貨物」の自動車以外の自動車 |
輸送の安全及び旅客の利便の確保
福祉有償運送は、他人を有償で運送するものである以上、輸送の安全や旅客の利便を確保することが必要不可欠です。そのために最低限必要な措置が求められます。
福祉有償運送の運転者に必要な資格
福祉有償運送の運転者には、次のいずれかの資格が必要です。
- 第二種免許
- 第一種免許の場合は、国土交通大臣認定の福祉有償運送認運転者講習の修了又は(社)全国乗用自動車連合会等が実施する「ケア輸送サービス従事者研修」の修了
セダン型車両の場合には、さらに下記のいずれかが求められます。
- 介護福祉士の登録
- 国土交通大臣認定のセダン等運転者講習の修了
- (社)全国乗用自動車連合会等が実施する「ケア輸送サービス従事者研修」の修了
- 訪問介護員など
運行管理責任者
5台以上の自動車を運行管理する事務所は、運行管理責任者を、自動車の数に応じて選任しなければなりません。
運行管理責任者になる要件は以下のとおりです。
- 運行管理者資格者証の交付を受けた者
- 運行管理者試験の受験資格を有する者
独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が実施する「運行管理者基礎講習」(原則としてタクシー分野)を受講することで受験資格を取得することができます。 - 安全運転管理者の要件を備える者