「一般社団法人の基金」について説明します。
一般社団法人の基金とは
一般社団法人では資本金を「基金」と呼びます。
一般社団法人は、設立時に基金を出資しなくても設立することができます。つまり、資本金は0円でもOKです。
一般社団法人には、活動の原資となる資金調達の手段として、「基金制度」が設けられています。分かりやすく言うと、一般社団法人は、「基金」という制度を用いて資金を調達することができます。
NPO法人、一般財団法人、株式会社や合同会社などには「基金制度」はありません。「基金制度」は一般社団法人だけに設けられている特別な制度です。
「基金」とは、社員や社員以外の人から一般社団法人に拠出された金銭その他の財産のことです。
基金は、一般社団法人と当該拠出者との間の合意の元に、返還義務を負うとされています。そこが、「出資」とは異なる点です。
一般社団法人では、基金を出資する者と一般社団法人の社員の地位は別のものとして扱われます。
社員が基金を拠出することはもちろん可能ですし、社員が基金を拠出しないこともできます。
基金制度は、剰余金の分配を目的としないという一般社団法人の基本的性格を維持しつつ、その活動の原資となる資金を調達し、その財産的基礎の維持を図るための制度です。
一般社団法人に関する法律では、基金制度の採用は義務付けられていません。基金制度を採用するかどうかは、一般社団法人が自由に決めることができます。
基金として集めた金銭等の使途に法令上の制限はありません。一般社団法人の活動の原資として自由に活用することができます。
基金制度を採用するには
一般社団法人が基金を設置するかどうかは任意です。
一般社団法人が基金制度を採用するには、次のような基金に関する事項を定款に定めておかなければなりません。
- 基金の拠出
- 基金の募集
- 基金の拠出者の権利
- 基金の返還の手続
定款に基金に関する定めがない場合は、定款を変更して基金に関する事項を定める必要があります。定款を変更するには、社員総会の特別決議が必要です。
定款に基金に関する条項を記載することによって初めて基金を募集することがができるようになります。
基金の額については制限はありません。金銭以外の不動産や動産も基金とすることができます。
金銭以外の不動産や動産を拠出する場合には、原則として、その価額を調査する必要があります。具体的には、裁判所に対して価額調査のための検査役の選任を申し立てます。